取材時期:2018年6月
未来な明日に向かって、自分らしい生き方や働き方を創造する看護師や個人・団体を紹介するコーナー【ミライナース】。こちらの記事は、前身となったウェブメディア【ミライナース】より記事を移転しています。
「対話」からつながる「健康生成論」とは?
最近、ライター活動が増え看護師として医療現場から離れているわたしですが・・・地域の「在宅医療」を学ぶ勉強会に参加してきたので、今回はそのレポートをお届けします!
Contents
地域医療や在宅医療を学ぶ!東京・世田谷区の在宅医療研究会に参加してきました
(いつも明るい♪ホウカンTOKYO三軒茶屋のPT・中田さん)
今回参加したのは、東京・世田谷区の「在宅医療研究会」
こちらでは月に一回の勉強会が開催されており、誰でも無料で参加することができます。
訪問看護ステーション【ホウカンTOKYO】が主体となって運営しています。
ここ数か月、毎月お邪魔していますが・・・毎回ゲストでお二人の講師が登壇、二つのテーマで話しを聞くことができ、かつ堅苦しい空気がなくしっかり学べるので、毎回楽しませていただいています♪
対話(ダイアローグ)が変える医療~職種間連携に活かすために~

【テーマ】対話(ダイアローグ)が変える医療~職種間連携に活かすために~
【講師】東京大学大学院 講師 みんくるプロデュース 代表理事
家庭医療専門医 孫 大輔 先生
孫先生は、プライマリケアやヘルスプロモーションを推進する家庭医療専門医。
2010年より、市民・患者と医療者がフラットに対話できる場「みんくるカフェ」を主催し、対話(ダイアローグ)、ウェルビーイングの重要性を社会に広めています!
「会話」と「対話」は違う?自分と向き合い、人とつながり、相互理解を深める対話のあり方
「会話」と「対話」の定義は文献によってさまざまですが、対話はただ”話す“のではなく、”話し、向き合う“というイメージがあります。
「自分と向き合い」「人とつながり」「相互に理解を深めていく」のが対話ではないでしょうか?
と考えさせられます・・・!
少子高齢化が加速するいま、医療を取り巻く社会情勢は変わり続けています。
病院中心の医療から、地域包括ケア時代へ。
疾患や障害があっても在宅で生活する人が増え、「患者中心の医療」「生活への援助」を行っていくために、患者だけでなく家族・地域の人・医療者が連携できるような関わりが重要になっています。
そんな中、孫先生は「みんくるカフェ」を中心に、医療者と市民が分け隔てなく関われるコミュニケーションの普及を続けています。
オープンダイアローグ:7つの原則
①即時援助
すぐにできる
②社交ネットワーク
人は人同士のコミュニティ・ネットワークで暮らしている
③柔軟性と機動性
必要に応じてやり方を変える大切さ
④責任
自分に責任をもつ
⑤心理的継続性
できるだけ同じメンバーで継続的にかかわる
⑥不確実性への耐性
病名で見ない姿勢や、対話の中で結論を求めないこと
⑦対話主義
対話により多声性(ポリフォニー)が生まれ、新しい意味が生まれる
「オープンな対話(ダイアローグ)に難しいテクニックは必要ない」という孫先生。
この原則でわたしが印象的だったのは「不確実性への耐性」でした。
看護師として医療現場にいて「病名」や検査の「数値」に固執している医療者・患者さんが多いとわたしは感じていました。
もちろん命に関わる問題である以上必要なことですが、確実な診断や目に見える検査結果などを過剰に求め、自分の心と体に向き合えていない方や、自らを病名に当てはめてしまうような方にお会いして疑問を持っていたこともあり・・・
「あいまいなままでいることも大切」
と講義で孫先生が話している言葉を聞き、ふと腑に落ちるものがありました。
とくに、在宅・生活の場においては・・・白黒をつけることが必ずしも正しいとは限らない。
病気や障害を持ちながらゆるやかに生活していく「あいまいさ」も大切なのではないでしょうか?
「自分目線」を身に着けることの大切さ。日本の対話不足の原因は、社会システムと教育の中に
「そもそも『対話』という概念が日本社会のなかで希薄だった」と話す孫先生。
日本では長年「他人を大切にしなさい」「人に迷惑をかけてはいけない」といった奉仕の精神の教育が行われてきました。
もちろん、それも大切な教えです。
ですが、「普通・平均的」な人を善しとする風潮が続くなかで「他者を敬う」「人を傷つけないように動する」「自分の思いがあっても我慢・抑圧する」という人があまりにも多くなってしまったのが、今の日本の現状ではないでしょうか?
「本音を言わない・言えない」
全体の調和を重んじて、本音の対話を避け、もう自分の本心が分からない・・・そんな方も多いのではないでしょうか?
それは表面上楽しく「会話」をしていても、自分とも相手ともきちんと向き合っていない「対話」をしていない状態。その生き方が、人生に対して・健康に対してどこか受け身な日本の文化につながっている・・・。
これからの日本を豊かにしていくためには、社会システムや教育の中で「対話」の重要性を伝え、自分とも他人とも向き合える人・環境を増やしていくことが必要なのではないでしょうか?
予防よりも健康の強化!「そもそも健康が低下しにくい生き方」を届ける孫先生の活動
2016年よりCBPR(地域基盤型アクションリサーチ)という活動を発展させ「谷根千まちばの健康プロジェクト(まちけん)」を始動した孫先生。
地域で活躍する看護師【コミュニティナース】とともに、屋台を使った「モバイル屋台 de 健康カフェ」というイベントも行ったそうです。
この屋台で街を廻る目的も「対話(ダイアローグ)」
普段から医療者・地域同士のつながり・対話を増やすことで、
「不調や病気になってから考える健康」ではなく「日常生活が自分の健康をつくる」ことへの気づき・きっかけを増やし、健康を増進・強化する「ウェルビーイング(幸福で心身ともに良好な状態)」「健康生成論」につなげています。
そんな活動が日本中に広まれば、日本中に心身ともに豊かに生きられる人が増えていくのではないか・・・そうわたしは感じました。
自分との「対話」?!
こうして勉強会に参加することで、自分の学びや人生観が深まり、結果として周りの人や患者さんのためになる・・・。
素敵な学びをいただいた孫大輔先生、開催している在宅医療研究会に・・・感謝です!
医療も看護も人生も学べる!幅広い勉強会を開催する在宅医療研究会へ足を運んでみよう
病気ではなく「人間全体」を診る・・・そんな孫先生の想いを「みんくるカフェ」や著書からもっと知ろう!
楽しく勉強がしたい方も、わたしに会いに来てくれる方も(え、いない?笑)
・・・募集中です♡
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
あなたの健康と幸せを願っています!
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