ツインレイ

ツインレイ*彼と私の物語⑧

出会いから、二日連続で会った彼。

「来週も行くから予定空けて!!」と半ば強引に言われたものの、結局「会場予約できなかった」と案の定、次の週まで会う予定はなくなった。

 

とはいえ、

「次は、〇日に大阪で^^」

と、もはや次も会う前提で話が進められている。

 

大阪に行くのは、物心ついてから人生で2回目。

彼と出会う前に決めていた出張&旅行だった。

 

そんな珍しいタイミングで、なぜ東京で会ったばかりの大阪人の彼とまた会わなければならないのか。

(1カ月に3回も会うって、多くない・・・?)

 

次に会うのは2週間後。

それまでの間、彼からは毎日のようにメッセージが飛んでくるようになった。

 

ふざけてるのか本気なのか、よくわからない内容ばかり。

そして、明らかに話題を恋愛路線に持っていきたいであろう、幼稚な内容が盛りだくさん。

 

「恋愛下手やねん」

「一緒にいるだけで楽しいって言われてきて、相手の楽しいことを理解しようとしてこなかったから・・・」

「他人の考えてることがわからない」

言葉の端々に、亡くなった奥様への懺悔のような想いがにじむ。

 

彼はきっと、自分の感情にも他人の感情にもものすごく鈍い人なのだろう。

 

(守ってあげたい・・・)

恋なのか、母性本能なのか。

そんな想いが湧きあがる。

わたしはどちらかというと、男性にはいつも守ってもらう側だった。

 

(なんでこんな気持ちになるんだろう?)

 

初めて会ったときに彼を包む”なにか”から受け取ったメッセージ、

『この人を守って支えてほしい』

 

(これは、何かの使命なのかな・・・)

 

彼と東京で会ってから、次に会うまでの期間に、

わたしは誕生日を迎える。

 

区切りを、つけたいと思った。

 

誕生日の前日。

わたしは、夫に離婚を申し出た。

 

穏やかで、一緒にいるといつも嬉しそうに笑ってくれた夫。

家庭的で家事を率先してやってくれて、料理が上手で、人望もあった夫。

お互いに食べることが好きで、家での料理も外食も「美味しいね~」「幸せだね~」と言い合っていた日々。

よほどのことがない限り、決して料理を残さなかった二人。

 

別居生活が続いて、その日久しぶりに会った夫は、別の人になってしまったんじゃないかというほど表情がなかった。

「お腹空かないね・・・」

「荷物、いつ持っていく?」

「・・・」

「・・・」

話せば話すほど寂しくなって、涙が出そうで、わたしはひたすら泣くのを堪えていた。

きっと夫もそうだったんだろう。

その日ばかりは、食事もちっとも進まない。

お互いに言葉がうまく出なかった。

 

夫と共に歩んだ10年間は、幸せに満ちていた。

ずっと仲が良くて理想の夫婦だと言われていた。

 

でもわたしも夫も、深く向き合ったりぶつかることができない人間だった。

喧嘩することはほとんどなく、平穏な日々。

ちいさな不満を解決しようとはしてこなかった。

 

不変、安定の夫。

変化、成長のわたし。

 

『社会を変えたい』『自分には何か役割があるのかもしれない』とあるとき悟り動き始めた妻は、夫にとって不可解でしかなかっただろう。

 

夫に変化を望み、本音をぶつけたとき、夫の選択は「なにもしない」だった。

変化を望まない人を無理やり変えるのは、ただの自分のエゴだ。

この人にはこの人の幸せがある。

 

愛してる。けど、もう人生を一緒に歩んでいく人じゃない。

離れて生活をした期間が、お互いの心の準備期間になった。

 

「この人は、とても素敵な人だ。だから、絶対に他の人とでも幸せになれる」

そう思った。だから、別れを決めた。

 

お互いにちいさな我慢を積み重ねて、別れ話のときですら、お互いに気持ちをぶつけ合えない。

お別れのときも、とても静かだった。

 

『愛しています』『ありがとう』『ごめんなさい』

そんな想いを伝えたかったけけど、言葉にしたら涙が止まらなくなると思ったら、口に出して言えなかった。

あの日何を話したか、ほとんど憶えてない。

 

ただお互いに、言葉にできない感情を共有するとても静かな時間を過ごした。

 

なぜ今このタイミングで離婚なんだろう?と自分でもわからなかった。

”彼”とは出会ったばかりでまだ何もない。

 

誰のためでもなく、”自分の人生”を生きるために。

わたしは新しい人生の扉を開けて進むことを決めた。

 

*I for me♡マイセルフケア~あなたはあなたのために。私は私のために*

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