病棟看護師を辞めてクリニックや検診センターで働くようになってから、なぜかめちゃくちゃ上手になったことがあります。
それは採血。
採血は看護師の基本。
病院=前線の現場を離れたら、下手になりそう・・・そう思っていました。
でも逆にすごく上達し、ほとんど失敗しないうえ、患者さんから「痛くない」と好評です。
そんな経験の中から、今回は看護師一年目で誰もがビビる登竜門であり、されるのが好きな人がいないであろう採血を、看護師も患者もお互いに負担なく実行する方法をお伝えしたいと思います。
血管の探し方:とにかく血管を探せ。探すんだッ!
この記事では①血管の探し方、②痛くない刺し方のみにフォーカスしています。
あくまでも自分流なので、ベテランナースの方に聞いたらもっと違うテクニックがあるかもしれません。
とにもかくにも、採血で大事なことはターゲットを見つけてロックオンすること。
刺すところが見つかれば、9割ヤれるっっっ!
採血に適した血管はここらへん。
採血に最も適しているといわれているのは、肘正中皮静脈。
読んで字のごとく、肘のど真ん中にある血管ですね。
①難易度★☆☆☆☆:ど真ん中ストライク!見て触って、すぐに分かる優良物件!
☑血管(特に肘正中皮静脈)が通常時から青く浮いて見えている方
☑駆血帯をしなくても、すでに見えている方
基本の手技ができていれば、まず失敗しない。されない。
助かります!!!
②難易度★★☆☆☆:時々逃げる!浮き上がる血管!
☑血管が皮膚から盛り上がっていて、浮き上がっているのが分かる方
☑色黒など肌の状態でパッと見わかりづらいけど、駆血帯を巻けばクッキリと血管が浮き上がる方
こういった方も比較的、採血しやすいです。
スポーツをしている、筋肉質の男性に多いタイプですね。
血管自体がとても太く、助かります。
ですが、血管が丈夫すぎて針を避けてしまうのか?血管が動いてしまうのか?
たまーに血管が逃げて失敗することがあります。
パッと見簡単そうなだけに、要注意。
しっかり血管を固定してから指しましょう。油断は禁物です。
③難易度★★★☆☆:普段は隠れているけど巻けば見える。触れば分かる。
☑パッと見、血管が見当たらない・・・けど?
肥満気味の方に多いパターンです。
それでも、駆血帯を巻くと血管が浮き上がってくる、そんな方がいます。
駆血帯を巻いてすぐには血管が出なくても、少し待ってみたり、腕を高くしてもらったりすると、ひょっこりと顔を出してくれることがあります。
焦らずじっくり観察せよ!
④難易度★★★★☆:感触だけが頼り!慣れないと分からない、忍ぶ血管!
☑血管が・・・行方不明
私、看護師さん泣かせで・・・
見えない、触れない、巻いても分からない・・・。こんな方がいます。そんなときは、駆血帯を巻いたあと、肘の周りをかたっぱしからプニプニしてください。
「プニプニ」です。
皮膚の他のところとはビミョーーーーーに違う、血管特有の「プニプニ」これを指先で探してください。
この特有の感触を覚えるには、とにかくたくさんの血管に触れること。指先に刷り込んでください。
ただこの血管は、感覚だけが頼り。刺すときに目では見えないので、慣れないうちは見つけてもヒットさせるのが至難の業です。
手と目。これは経験で覚えていく必要があります。
穴場スポット☆ここをプニプニしまくれ!
私の経験則ですが「見えないけれど確かにある!」と感触で見つかる場合が多いのが、肘の外側です。全員にあるわけではありませんが、結構見つかります。
これを見つけられるようになって、一気に採血が上達しました。
⑤難易度★★★★★:血管が細い、もろい、弱い・・・。採血・・・やめましょ?
これは高齢の方で、衰弱してきている方に多いです。
血管が細すぎて、針を刺しても血が吸えなかったり、刺したとたんに内出血が始まったり・・・。
刺してて失敗して選手交代。腕がダメならと足から採血・・・(患者さんは相当痛い)
検査も負担になるので、もう採血やめましょうよ。って言いたくなります。
痛くない刺し方:ひと思いにやれッ!思い切りが大事!
全ッ然痛くなかったよ~~~~
なんだか患者さんによく言われます。
私の採血は、どうやらかなり痛みが少ないらしいです。
なので、私が心がけているポイントをお知らせします。
①ひと思いにヤる:迷わず刺せ。刺せば分かるさ。
言ったらすぐに刺します。
ためらわず、まっすぐに。スピーディに。
ドキドキしながらゆっくり行くと血管に逃げられます。
「ス、ス、スーッ」じゃなくて「スーッ!」
大事なところ、擬音ですみません。
でも本当、スッとひと思いに刺すとヤる方もヤられる方も辛くないです。
②針はなるべく皮膚に水平に!そうすれば痛くない!
これ、すごい大事です。
自分が採血されてて痛かったのが、やたら針の角度がついてたとき。
角度つけて刺そうとしてる看護師さんがいたら、痛いの覚悟してください・・・。
極力水平にして刺すと「痛くなかったー」と言ってもらえます。
まとめ:患者さんの反応を見ながら、経験値を上げる。これしかない。
「痛かったですか?大丈夫でしたか?」
人生で採血されたことがない大人はほとんどいないはず。
みんな、必ず何度も採血を経験していますよね?
全員に聞かなくてもいいですが、まずはお話しのしやすい患者さんから感想を聞く癖をつけましょう。
本当に痛くない採血ができると、患者さんは「いやー、上手だね!」「今日全然痛くなかった!」と自ら言ってくれたりします。
私はクリニックや健診センターで採血をやるようになり回数が増えたこと、また、採血ができるスタッフが少ない中で「失敗したときに、他の人に頼むわけにはいかない!」というプレッシャーにより、一気に採血が上達したように思います。
採血 = 痛い、苦痛
この精神的負担が少しでも少なくなるように、私は日々患者さんに感想を聞き、創意工夫に励んでいます。
採血に苦手意識のある方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
この記事は、2017年9月に前ブログで投稿した内容を再編集したものです。
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