「忙しい看護学生さんの勉強を少しでも楽にできたらいいな」
「事前学習・実習・国家試験対策に役立つ情報が気軽に調べられたらいいな」
そんな思いから「毒茄子(毒ナース)」は生まれました。
毒茄子の勉強部屋では、
「手元に教科書がないけどちょっと検索して見たい情報がある」
「レポートにまとめるときに参照したい」
といったときに教材・ノート代わりに活用して頂けるものを目指しています。
今回は【肺がん】について。
がんは日本人の【死亡原因第1位】ですが、その中でも肺がんは、がんの部位別死亡数が【全体で1位】【男性で1位】【女性で2位】となっています。(平成27年、厚生労働省統計時点)
Contents
肺がん
肺がんは、罹患数・死亡数ともに世界で最も多いがんである。また、日本においても部位別罹患数が大腸がんについで2位、死亡数については1994年以来連続して1位(男性1位、女性2位)となっており、増加傾向が続いている(平成27年時点)。肺がんの死亡数が多い要因としては、がんの中でも特に進行が早いがんであり、初期の自覚症状もあまりないため発見が遅れがちということがいえる。
ハイリスク群
・50歳以上(特に60~70代に多い)
・男性に多い
・喫煙者に多い(ブリンクマン指数400以上でリスク増大、600以上ハイリスク)
※ブリンクマン指数 = 一日の喫煙本数×喫煙年数
・がん、肺がんの家族歴がある人
・日常的に排気ガスや有害物質にさらされる生活を送っている人
分類と特徴
組織型によって、大きく4つのタイプの腫瘍に分類される。
分類 | 特徴 |
腺がん | ・肺がんの中で発生頻度が最も多い(全体の5割以上) ・非喫煙者の女性にも多い ・ほとんどが肺の末梢に発生 |
扁平上皮がん | ・肺がんの2~3割程度 ・喫煙と関連が深く、男性に好発 ・肺門部近くの太い気管・気管支にみらえる ・症状が出やすく、比較的発見しやすい |
小細胞がん | ・肺がんの15~20% ・増殖が速く、全身に転移しやすい ・予後が最も悪い ・抗がん剤や放射線治療が比較的効きやすい |
大細胞がん | ・肺がんの5~10% ・増殖が速い |
症状
・咳嗽、血痰、発熱、喀痰
・胸痛
→胸壁への浸潤、肋骨の転移などによる
・嗄声
→反回神経への浸潤による
・上大静脈症候群
→右側の肺がんの浸潤により、上大静脈が閉塞することがある。
→顔面・上肢の極度の腫脹が生じる。
・上肢痛、運動障害
→肺尖部の上にある腕神経叢への浸潤による
・ホルネル症候群
→第1、第2胸椎の椎体に沿って存在する、頸部交感神経節への浸潤による。
→同側の交感神経麻痺による症状(縮瞳、眼瞼下垂、同側顔面発汗停止)
主な検査方法
・胸部X線
・胸部CT、MRI
・喀痰細胞診
・気管支鏡検査
治療
組織型により治療方針が異なる。小細胞がんとそれ以外の非小細胞がん(扁平上皮がん、腺がん、大細胞がん)で区別することが多い。
小細胞がん
化学療法が中心となる
(腫瘍の範囲が限局している場合は、放射線療法を併用)
非小細胞がん
・早期がん→手術療法が中心
・進行がん→放射線療法・化学療法
治療方針の決定
がんの病期・転移の有無などにより治療法が決定される。
がんの進行度を表すものにTNM分類がある。
・がんの大きさ、進行度(T)
・リンパ節転移の有無や程度(N)
・遠隔転移の有無(M)
TNM分類
[T:原発腫瘍の大きさや進展度]Tx | Tis | T1 | T2 | T3 | T4 | ||
T1a | T1b | T2a | T2b | ||||
潜伏癌 | 上皮内癌 | 腫瘍の最大径2cm以下 | 腫瘍の最大径2~3cm | 腫瘍の最大径3~5cmまたは3cm以下で臓側胸膜浸潤 | 腫瘍の最大径5~7cm | 腫瘍の最大径7cmより大きいまたは胸壁側への浸潤等 | 縦隔、心臓、大血管等、がんと同等の異なった肺葉間の腫瘍結節等 |
[N:リンパ節転移]
N0 | N1 | N2 | N3 |
リンパ節転移なし | がんと同側の肺門リンパ節に転移あり | がんと同側の縦隔リンパ節に転移あり | がんと対側の肺門リンパ節、縦隔リンパ節または頸部のリンパ節に転移あり |
[M:遠隔転移]
M0 | M1 | |
M1a | M1b | |
遠隔転移なし | がんと対側の肺内の副腫瘍結節、胸膜結節、悪性胸水、悪性心嚢水 | 肺以外の臓器への遠隔転移 |
TNM分類と病期
TNM分類をもとに病期(ステージ)が決まり、病期をもとに予後を予測し、治療法を決定する。
T1a | T1b | T2a | T2b | T3 | T4 | ||
M0 | N0 | ⅠA期 | ⅠB期 | ⅡA期 | ⅡB期 | ⅢA期 | |
N1 | ⅡA期 | ⅡB期 | ⅢA期 | ||||
N2 | ⅢA期 | ⅢB期 | |||||
N3 | ⅢB期 | ||||||
M1 | Ⅳ期 |
看護
日常生活への援助
(1)疼痛の緩和
痛みが出現してから鎮痛薬を投与するのではなく、患者の痛みのパターンを把握し、適切な鎮痛薬の血中濃度を維持し、痛みの出現の予防をすることで効果的な疼痛コントロールができる。
(2)呼吸の維持
症状が進行すると、普通に呼吸するだけでも苦痛を感じ、死への不安と結びつく。
少しでも安楽な呼吸ができるよう援助する。
(3)活動への援助
セルフケアレベルに応じて、日常生活習慣を維持するための活動を援助する。
(4)栄養
必要栄養量を摂取できるよう援助する。
(5)不安
患者・家族に寄り添い、不安や恐怖が緩和されるように援助する。
治療に伴う援助
1)全身療法 : 化学療法
化学療法 – 開始時
化学療法 – 実施時
副作用への対応
看護師は副作用症状の発現機序と発現時期を理解し、患者とともに副作用のモニタリングを行い、
患者のセルフケアを支援する。
[2]下痢・便秘
[3]腎機能障害
[4]骨髄障害
[5]末梢神経障害
[6]肺障害
2)局所療法 : 放射線療法
原則として、外科的切除ができない肺がんの局所の制御を目的として行われる。
放射線療法 – 開始時
放射線療法 – 実施時
副作用
<早期反応>
(1)放射線宿酔
(2)放射線食道炎
(3)放射線皮膚炎
<遅発性反応>
(1)放射線肺炎
参考書籍・学生時代にお世話になった参考書/専門書たち
管理人は第105回看護師国家試験受験者です。そのため記事に掲載されているのは、管理人が看護学生だった当時にまとめていたノートやレポートからの情報です。
ご自身の学習に自由に活用して頂いて構いませんが、書いてある内容をきちんとご自分で確認し、各自の自己責任の元で活用をお願いします。
内容の不備・使用に関するトラブルについて、運営では一切の責任を負いかねます。