内分泌・代謝・免疫

【看護学生向】糖尿病:病態、分類、合併症、治療、薬、看護まとめ②

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

糖尿病の病態・治療からの続きになります。

 

糖尿病患者の看護

(1)心理面への援助

糖尿病に伴う心理的反応(否認・怒り・抑うつなど)を経験し、とまどいや不安を抱える患者に対し、話し合い、 理解を深め、受け入れ、治療に向き合えるよう援助する。

■糖尿病における重大なできごと

①最初の診断
②最初の低血糖やケトアシドーシスの経験
③妊娠、出産
④再発性の感染症
⑤手術
⑥慢性合併症の出現
⑦合併症による死の接近

 

(2)患者・家族への教育的アプローチ

糖尿病における健康教育には、以下のような目的がある。

・良好な血糖コントロールの維持
・合併症予防
・糖尿病以外の病気の予防
・家族の健康意識を高める

 

1)食事療法への援助

①適正な一日のエネルギー量と糖質・タンパク質・脂質量
②食品交換表に基づいたエネルギー量の計算方法と単位計算
③いままでの食事の評価と、減らすべき食品、増やすべき食品
④食事時間と食事回数
⑤外食の取り方
⑥間食・アルコールの取り方

 

2)運動療法への援助

糖尿病患者にとって好ましい運動とは、安全で、代謝促進効果があり、インスリン感受性を改善する運動である(=有酸素運動)。 その人の身体能力やその日の調子により運動強度をかえることができ、かつ継続性をもたせるためにも「いつでも」「どこでも」「一人でも」できるウォーキングなどの運動が望ましい。

患者の生活・状態に合わせた運動をともに考え、指導していく。

 

①運動の種類と頻度

→ 週3回以上、全身を使った有酸素運動が望ましい。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水中歩行・水泳など。

 

②運動の量と強度

→ その人に合ったペースでのウォーキングなどの運動から始め、次第に強度や量を増加する。

 

③運動の実施時間・方法

→ 食後は血糖値が上昇するため、血糖値の変動を考えると運動は食後20~30分頃が効果的。 生活の中で運動できる時間をみつけ、毎日無理なく続けられることが最重要。

 

④フットケア

→ 運動時は靴下を着用し、履きなれた靴やスポーツシューズを使用する。 運動後は、靴下を脱ぎ、靴ずれ・足指の変色・傷・出血などがないか観察する。

 

3)薬物療法への援助

①インスリン自己注射への援助

インスリン自己注射は「指示されたインスリンの種類を、正しい時刻に、正しい部位に、正確な量を、正しい注射方法で」 実施できることが求められる。 インスリンの自己注射は本人だけでなく、家族や周囲の人にも「目的、副作用、使用方法」などについて理解してもらうことが望ましい。

 

②血糖自己測定(SMBG)への援助

血糖値の変動を自ら把握し、良好な血糖コントロールのために効果的

 

③経口薬療法実施への援助

用法・容量を守って服薬できるよう始動する。

 

(3)合併症予防に対する援助

1)急性合併症と予防

①低血糖

低血糖はⅠ型・Ⅱ型どちらのタイプでも、薬物療法をしている場合にみられる。状況に応じてグルコース経口摂取や、グルコース静脈内注射が必要となる。

■低血糖の予防

・食事の時間の配慮
・運動療法をする際、低血糖対応のためのスクロース、グルコースの携行
・自分の低血糖症状への気づき、早期発見
・患者・家族に低血糖時の対応を説明し、意識低下がみられるときは医療機関を受診するよう指導

 

②糖尿病ケトアシドーシスと高浸透圧高血糖症候群

<糖尿病ケトアシドーシス> ...Ⅰ型糖尿病の急性合併症

インスリンの欠乏によって引きおこされ、高血糖および遊離脂肪酸の酸化によるケトン体の産生を特徴とする。

■高血糖症状

・体力減退と疲労感
・強い口渇感
・尿量の増加
・皮膚や粘膜の乾燥
・血糖値の上昇(300mg/dl以上)
・甘い口臭
・尿中ケトン体
・努力呼吸
・腹部痛
・吐きけ・嘔吐
・意識状態の変化

※緊急入院の必要がある

 

<高浸透圧高血糖症候群>

きわめて高い血糖値を示し、重度の脱水と意識状態の変化がみられる。
緊急の対応が必要であり、入院による治療が不可欠。

■予防

・血糖コントロールが基本
・インスリン治療中の患者のシックデイに食事ができずにインスリン注射を中断し、高血糖や糖尿病性ケトアシドーシスにいたることがあるので注意する。
・患者・家族にシックデイルールについて説明をし、自己判断でのインスリンの調整を行わず、主治医への連絡や医療機関への受診を行うよう指導しておく。

 

2)慢性合併症と予防

慢性合併症は、高血糖が長期に持続することによって発症の可能性が高くなるので、血糖コントロールを
適切に行うことが重要である。

①動脈硬化症:冠動脈疾患、脳血管障害
■予防

・血糖コントロール
・血圧・コレステロールの管理
・禁煙

 

②糖尿病網膜症

失明の主要要因となる。

■予防

・血糖コントロール
・定期的な眼科受診

 

③糖尿病腎症

わが国の新規人工透析導入の原因疾患の第1位(原因の1/3を占める)。10~15年かけ、無症候性に進行する。

■予防

・血糖コントロール
・血圧コントロール
・・・進行の抑制

 

④糖尿病神経障害

死亡の原因となることは少ないが、重篤な病気や障害の原因となる。

■症状

・末梢の対称性感覚障害、運動神経障害、自律神経障害
・夜間増悪する四肢末端の自発痛と異常感覚
(ジンジン・ビリビリなどのしびれ感、足底の違和感、冷感など)
・手足の感覚の喪失(振動覚、触覚、温度覚: 熱刺激、寒冷刺激)

 

⑤足病変とフットケア

糖尿病に伴う神経障害および動脈硬化症によって、足の知覚障害と環境障害が要因となり、炎症・潰瘍から壊死あるいは壊疽にいたることがある。治癒しない場合は、部分的な組織の切除や足指の切断、広範囲の場合には膝関節下・膝関節上での下肢切断術が必要となる。

■予防

・足部を毎日よく見て、足趾の間を清潔に保つ。踵などが乾燥するときは、ひび割れしないように保湿剤を使用する。
・爪は深爪しないよう整え、爪の白濁・肥厚(白癬症)や巻き爪がみられるときは医療職者に相談。
・足のサイズと形に合った靴を選ぶ。靴下を着用する習慣をつける。
・暖房器具による熱傷・低温熱傷を防ぐため、暖房器具は皮膚から離して用いる。
・足部に発赤・腫脹・熱感・疼痛・滲出物などの異常徴候がみられるときは、すぐに医療職者に相談
・白癬症があるときはすぐに治療を開始する。

 

足病変のハイリスク状態

・足部を毎日よく見て、足趾の間を清潔
・末梢神経障害がある
・末梢循環障害がある
・視力障害がある
・血糖コントロールが不十分
・職業上外傷を受ける機会が多い
・足の衛生保持が不十分
・ヘビースモーカー
・腎障害で透析を受けている

 

 

参考書籍・学生時代にお世話になった参考書/専門書たち

 

 

免責事項について

管理人は第105回看護師国家試験受験者です。そのため記事に掲載されているのは、管理人が看護学生だった当時にまとめていたノートやレポートからの情報です。

ご自身の学習に自由に活用して頂いて構いませんが、書いてある内容をきちんとご自分で確認し、各自の自己責任の元で活用をお願いします。

内容の不備・使用に関するトラブルについて、運営では一切の責任を負いかねます。

 

関連記事