糖尿病の病態・治療からの続きになります。
Contents
糖尿病患者の看護
(1)心理面への援助
糖尿病に伴う心理的反応(否認・怒り・抑うつなど)を経験し、とまどいや不安を抱える患者に対し、話し合い、 理解を深め、受け入れ、治療に向き合えるよう援助する。
(2)患者・家族への教育的アプローチ
糖尿病における健康教育には、以下のような目的がある。
・合併症予防
・糖尿病以外の病気の予防
・家族の健康意識を高める
1)食事療法への援助
②食品交換表に基づいたエネルギー量の計算方法と単位計算
③いままでの食事の評価と、減らすべき食品、増やすべき食品
④食事時間と食事回数
⑤外食の取り方
⑥間食・アルコールの取り方
2)運動療法への援助
糖尿病患者にとって好ましい運動とは、安全で、代謝促進効果があり、インスリン感受性を改善する運動である(=有酸素運動)。 その人の身体能力やその日の調子により運動強度をかえることができ、かつ継続性をもたせるためにも「いつでも」「どこでも」「一人でも」できるウォーキングなどの運動が望ましい。
患者の生活・状態に合わせた運動をともに考え、指導していく。
①運動の種類と頻度
→ 週3回以上、全身を使った有酸素運動が望ましい。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水中歩行・水泳など。
②運動の量と強度
→ その人に合ったペースでのウォーキングなどの運動から始め、次第に強度や量を増加する。
③運動の実施時間・方法
→ 食後は血糖値が上昇するため、血糖値の変動を考えると運動は食後20~30分頃が効果的。 生活の中で運動できる時間をみつけ、毎日無理なく続けられることが最重要。
④フットケア
→ 運動時は靴下を着用し、履きなれた靴やスポーツシューズを使用する。 運動後は、靴下を脱ぎ、靴ずれ・足指の変色・傷・出血などがないか観察する。
3)薬物療法への援助
①インスリン自己注射への援助
インスリン自己注射は「指示されたインスリンの種類を、正しい時刻に、正しい部位に、正確な量を、正しい注射方法で」 実施できることが求められる。 インスリンの自己注射は本人だけでなく、家族や周囲の人にも「目的、副作用、使用方法」などについて理解してもらうことが望ましい。
②血糖自己測定(SMBG)への援助
血糖値の変動を自ら把握し、良好な血糖コントロールのために効果的
③経口薬療法実施への援助
用法・容量を守って服薬できるよう始動する。
(3)合併症予防に対する援助
1)急性合併症と予防
①低血糖
低血糖はⅠ型・Ⅱ型どちらのタイプでも、薬物療法をしている場合にみられる。状況に応じてグルコース経口摂取や、グルコース静脈内注射が必要となる。
②糖尿病ケトアシドーシスと高浸透圧高血糖症候群
<糖尿病ケトアシドーシス> ...Ⅰ型糖尿病の急性合併症
インスリンの欠乏によって引きおこされ、高血糖および遊離脂肪酸の酸化によるケトン体の産生を特徴とする。
※緊急入院の必要がある
<高浸透圧高血糖症候群>
きわめて高い血糖値を示し、重度の脱水と意識状態の変化がみられる。
緊急の対応が必要であり、入院による治療が不可欠。
2)慢性合併症と予防
慢性合併症は、高血糖が長期に持続することによって発症の可能性が高くなるので、血糖コントロールを
適切に行うことが重要である。
①動脈硬化症:冠動脈疾患、脳血管障害
②糖尿病網膜症
失明の主要要因となる。
③糖尿病腎症
わが国の新規人工透析導入の原因疾患の第1位(原因の1/3を占める)。10~15年かけ、無症候性に進行する。
④糖尿病神経障害
死亡の原因となることは少ないが、重篤な病気や障害の原因となる。
⑤足病変とフットケア
糖尿病に伴う神経障害および動脈硬化症によって、足の知覚障害と環境障害が要因となり、炎症・潰瘍から壊死あるいは壊疽にいたることがある。治癒しない場合は、部分的な組織の切除や足指の切断、広範囲の場合には膝関節下・膝関節上での下肢切断術が必要となる。
参考書籍・学生時代にお世話になった参考書/専門書たち
管理人は第105回看護師国家試験受験者です。そのため記事に掲載されているのは、管理人が看護学生だった当時にまとめていたノートやレポートからの情報です。
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