システムエンジニア(超・男社会)からなぜか看護師(超・女社会)に転職し、今では看護師のお悩み・キャリア相談を仕事でしている私。
今回はそんな私が、実体験や実際にナース達から聞く「現場の理不尽な現状」を紐解いていきます。
看護師の世界、ほんと大丈夫?
って心配になるくらい、負の連鎖が繰り返されている実情があるよね・・・。
今回は、大学病院を辞めた中堅看護師さんから聞いた「自分が辞めたあとに新人・後輩に起きた悲劇」を元にしたエピソードから、看護師のリアルな実情を紐解いていきます。
ここでは私なりに分析・アセスメントしたことを書いていきます。
思考をほどいてゆるめましょ~~~
Contents
そもそもプリセプター制度ってなんだっけ?いつからあるの?制度の歴史を調べてみた
今さらだけど「プリセプター」ってなんぞや?
気になったので、調べてみました。
プリセプター制度(プリセプターシップ)とは
プリセプター制度とは、新人看護職(プリセプティー)と先輩看護職(プリセプター)が同じ勤務を行い、マンツーマンで指導にあたる制度。OJT(On the Job Training:現場教育)のひとつ。
(引用・参照:日本看護協会HPより)
いつからあるの?プリセプター制度の始まりと歴史
一人の新人に対して決められた先輩看護師がマンツーマンで、ある期間オリエンテーションを担当するプリセプターシップは、新人ナースの教育方法として多くの病院で導入されている。この手法は1970年代後半頃から、米国でリアリティショック防止対策として導入され、国内では1980年代中頃に紹介された。
その後新人ナースのリアリティショックを緩和し、職場適応を促進するための有効な方法として、また、プリセプターにとっても自己の看護を振り返り成長できる機会として定着してきた。
(引用・参照:日本看護協会HPより)
へ~、ここ30年くらいで導入された制度なのね・・・!
私も総合病院勤務のとき、1年目でプリセプターがついたな。
新人に対して、3年目・4年目あたりの先輩看護師がプリセプターになることが多いよね。
「新人ナースのリアリティショックを緩和し、職場適応を促進するための有効な方法」
「プリセプターにとっても自己の看護を振り返り成長できる機会」
なるほどなぁ。
大事なことは「一方その頃、現場では・・・?」って話ですよ~
新人・若手に起きる悲劇~守るどころか攻撃してくるプリセプターの話~
とある大学病院のとある病棟での話。
「信用してないから」と仕事をさせてもらえない
A子さんたちの病棟ではPNS(パートナーシップナーシング)を採用しています。
PNSでは看護師二人がペアになり、看護師二人分の受け持ち患者を一緒に受け持ちます。(ひとりで4人ではなく、ふたりで4人/4人の計8人を受け持ち。二人で確認し合うことでフォローし合って業務を進めていきます)
ある日、受け持ち患者の手術前の確認の情報収集漏れをしてしまったA子さん。
患者さんが「ストマを造設している」という情報が抜けていたそう。日勤ペアのB子さんがオペ室申し送り前に気付き、大きな問題にはなりませんでした。
すると次の日勤のとき、二人で8人の受け持ちのはずが「あなたはDさんとEさんだけでいいから」と、ペアで見るはずの受け持ち患者を強制的に分けられてしまいます。
自分の担当患者さんは2人だけ・・・患者数が少なく自分の分の仕事があっという間に終わってしまったA子さんは、B子さんに声をかけます。
受け持ちの患者さんの業務がすべて終わりました。
なにかお手伝いできることはありませんか?
は?なんで受け持ち減らされたか分かってる?
何か頼んでミスされたらこっちが迷惑だからやめてくれる?
もう誰もあなたのこと信用してないから。
新人がミスをしてしまった
→余裕がなくて漏れが出てしまったのかもしれない
→じゃあ、受け持ち患者を減らして負担をなくそう
というプロセスだったとすれば、この「受け持ち患者を減らすこと」自体には問題がないはず。
多重業務をこなすのが難しい新人の業務を減らすことは一見、落ち着いて仕事をしてもらうための配慮ともいえます。
「ミスされたら迷惑」「あなたを信用してない」なんて言われたら相手は萎縮するし、仕事への意欲や自信を失ってしまうよね?
人格否定やないか・・・
「やってることは同じなのに・・・」他の新人には怒らないプリセプター
ある日、患者Yさんに渡す書類を、間違って同じ病室の患者Zさんの床頭台に置いてしまったA子さん。
それを先輩B子さんが発見します。
なんでちゃんと確認しないの?
もうほんと見てらんない。こんなこともできないなんて、看護師向いてないよね。
はぁ・・・
深く傷つく
A子さん。
後日、A子さんは休憩室で見たくない状況を目の当たりにしてしまいます。
さきほどは患者さんに渡す書類を間違えてしまってすみません!
いいよいいよ~♪
全然大丈夫!忙しいとそういうときあるよね~~~
今後気をつけてくれれば大丈夫だから気にしないで♪
(あれっ・・・?
私のときと態度・・・全然違くない?!)
B子さんは、A子さんや一部のスタッフに対しては明らかに当たりがキツいものの、上司や他のスタッフの前では別人のように明るく接するんだそうです。
問題は「何をしたか」じゃなくて「誰がやったか」ってこと?!
B子さん、お局街道まっしぐらだな・・・
もちろんミスをしない努力は必要だけど、その態度の違いは明らかに理不尽だよね。
傷つくし、自信がなくなるよね。
自分を護ってくれるはずの先輩に否定されたら「看護師辛い・・・辞めたい・・・」って思っちゃうだろうなぁ。
繰り返される負の連鎖。その理不尽さは結局、自分の首を絞める
看護師や看護学生の人は「うわ~、看護師あるある!」って思いましたか?
看護師以外の方は「え、看護師ってそんななの?」と思いましたか?それとも「うちの業界・うちの会社でもあるわ~」って思いましたか?
冒頭で紹介したように、プリセプター制度は本来、新人ナースのリアリティショックを緩和し、職場適応を促進するための有効な方法として、また、プリセプターにとっても自己の看護を振り返り成長できる環境をつくるためのもの。
それが、理不尽に仕事を奪う、「誰もあなたを信用してない」「看護師に向いてない」など人格否定にも取れる言動をする、他のスタッフと比べてあからさまに態度を変えるといった行為は、明らかに教育の域を超えています。
A子さんはもしかしたら、元々すごく要領が悪いのかもしれません。
けれど、ここで考えてみてほしいんです。
プリセプティーから仕事を奪ったら、誰の仕事が増える?
そのプリセプティーが自信を失って、もし休職したり辞めてしまったら、結局誰の仕事が増える?
A子さんが仕事を覚えていけばいくほど、B子さんの負担は減るはず。
その機会を奪ってるのは、誰?
そう、実はB子さんは自分で自分の首を絞めているんだ。
A子さんという新人の成長の機会や意欲を奪い、自分の仕事を増やして自分でイライラして負の連鎖を起こしているんだよ。
そう。そしてA子さんが仕事を覚えられなければ、一番しわ寄せが来るのは教育担当であるB子さんのはず。
B子さんは「A子にやらせるなら自分でやったほうがマシ!信用できない」と、保身のためにA子さんから仕事を奪い、さらには否定的な言動や行動でA子さんから反論の余地を奪っている。
これによってA子さんはさらに身動きが取れなくなり、自身を喪失して仕事を覚えるペースが下がる。そしてその精神状態で仕事をして、さらに失敗をしやすくなる・・・。
これって・・・結局はB子さんの仕事が増えて、評価が下がって、自分の信用を失うよね
自分の身を守ろうとして、自殺行為してるって痛々しすぎる・・・。
そのプリセプター・お局は本当に悪なの?優しい人を豹変させる看護師業界の闇
B子さん、性格悪いしアホやん!!!って思った?
でもさ。B子さん確かに悪いんだけどさ、本当に悪いんかな?
最初からこんなに性格悪かったのかな?
看護師が看護師に優しくできないのって、結局業務が忙しくて疲弊して余裕がなくなってるからじゃないかな?
「患者さん=病気の人」が業務の質や量を左右するという予測不能で特殊な環境の中、命を預かるプレッシャー、医者や他の医療者とのやりとりに、患者さんや家族への細やかな対応・・・もう目一杯なんだよね。
そんな中で学生指導に新人指導、夜勤だってあるから自律神経バランスだって崩れるし・・・。
あ”ぁ~「どないせえっちゅうねん!!!」って叫びたくなりそう・・・。
それ聞くと、そんな中で誰にでも優しくできる看護師とかほんと神だと思うわ・・・。白衣の天使すごい・・・。
結局、教え方をきちんと教えられる人がいないのが日本の病院の現状だと思う。
だからみんな、自分の良心のもと、自分が教わったように新人に教えていく。
いや、プリセプター制度って30年とか続いてるんでしょ?
医療は進歩してるのに、看護師の世界って時代が昭和で止まってない?
平成ジャンプしてる・・・!
問題の本質はどこ?根本に気付き広い視野で見る大切さ
さぁ、ここで問題です。
このエピソードで一番悪いのは誰でしょう?
一番の被害者は誰でしょう?加害者は誰でしょう?
どうしたら解決できると思いますか?
納得できる答えを出せますか?
人それぞれ、感じたことや解釈は異なると思います。この記事はあくまでも「私の個人的な解釈・意見」です。
簡単に解決する問題ではありませんが、「問題の本質に気付く」ことはすごく大切だと思います。
この看護業界の闇にもアプローチする方法をみつけたくて、私は病院の外から「人の本質的な健康」のために働きかけていく方法を模索しています。
また色んな事例とともに、ケーススタディーをやっていこうと思う。
周りが変わるのを待ってても何も変わらない。
でも少しずつでも、自分の視点を変えて視野を広げていこう。
看護業務で経験したことはあらゆる仕事・生活の中で生きてきます。
「自分は普通・凡人で・・・」「むしろ落ちこぼれ看護師で・・・」なんて言ってる人や看護師で苦労してきた人こそ、これからの「生活の中での予防」が主になる時代に活躍していく人になっていくはず。
そんな【看護師万能説】【看護師最強説】も今後書いていきますね♡
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
*I for me♡マイセルフケア看護~あなたはあなたのために。私は私のために*